心大血管疾患リハビリテーションについて

第2循環器内科部長 佐々木 達哉

当院ではこれまでにも脳血管・運動器などのリハビリテーションを積極的に行ってきていますが、このたび心大血管疾患リハビリテーション科(T)(心リハ)の施設基準を取得し、5月より運用を開始しています。
心リハは県内でも大学病院など数施設で行われているのみで、特に回復期リハビリテーション病棟を持つ病院としては県内初で、幅広い患者のリハビリに対応できる体制が整うことになりました。
この心リハの対象となる疾患は虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、開心術後、慢性心不全、大血管疾患(大動脈解離、下肢閉塞性動脈硬化症)です。
これらの患者さんに急性期(発症数日以内)から回復期、慢性期にわたり運動療法を行うことで、臥床による廃用症候群の予防だけでなく、症状の軽減、再発の予防、再入院の減少、生命予後の改善などが図られることが明らかとなっています。
心リハの施設基準で他のリハビリテーションプログラムと異なるのは、心肺運動負荷試験(CPX)装置を備えることが義務付けられている点です。
CPXとはエルゴメータやトレッドミルで運動負荷を行いながら、連続的に呼気ガス分析を行うもので、運動耐用能が数値として評価できる試験のことです。
通常の運動は有酸素代謝ですが、運動強度が増すとある時点で無酸素代謝が加わり乳酸が蓄積していきます。無酸素代謝が続くと交感神経亢進状態となり心筋に悪影響がでるため、有酸素代謝の状態でリハビリを行う必要があります。
この無酸素代謝が加わる点のことを嫌気性代謝閾値(AT)といい、CPXを行うことで運動強度とATポイントの関係が判定できます。
一般的には自覚症状や心拍数をもとにして運動耐用能を判定して運動療法を進めますが、CPXにより効果的な運動処方の作成、心肺疾患の重症度判定、治療方針の決定、治療効果の判定が可能となります。
さらに心大血管疾患の予後を改善するにはこのような運動療法だけでなく、多職種による食事指導、生活指導、服薬指導などを含めた包括的な心血管疾患リハビリテーションが非常に大切なことがわかってきており、心大血管疾患が増えている昨今、豊富なスタッフを揃える当院ならではの発展が期待できると思います。
心リハの実際の運用はまだ始まったばかりですが、院内外との連携を取りながら経験を重ねていきたいと思いますので、皆様のご協力をお願いいたします。




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